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ピアノコンクールで上位入賞する方法:④選曲 【その3】

更新日:2024年1月14日

※『④選曲』はシリーズになっておりますので、宜しければ④【その1】からお読みください





コンクール用の曲を探す方法:中学入学前編

  • コンクール用の曲を探す方法

 お教室によっては、先生がコンクールの選曲をされる場合も多いかもしれません。プロの目で厳選されたプログラムですと特にコンクール参加初期の頃は安心ですね!我が家では最初の2回のコンクール参加時は先生が選んでくださったのですが、その後は先生の『本人の意思尊重主義』の為、我が子「モーたん」が自分の好きな曲を自由に選ぶことになりました。この「選曲」作業は今振り返れば数多くのピアノ曲を手当たり次第に聴いた時期でもあり、親子共々大変勉強になったのですが、当時は「この曲弾きたいけど6ヵ月間で仕上げられるかな?」と不安に苛まれながらの手探り作業でかなりストレスが溜まりました。しかも子供さんがまだ小さい時には、これらの作業は(特に資料を集める段階は)親御さんの仕事になるので責任重大です!


 それでは、ここでは我が家で実際に実行していた『勝つためのコンクール用の曲の探し方』をご紹介させていただきます。



 1.今後2・3年以内に参加予定のコンクールを選び出す


 ピアノコンクールで入賞する方法: ②コンクール選び(※下記にリンクあります)』でご紹介した方法でターゲットとなるコンクールを絞り込み、それぞれのコンクール参加に必要な曲(課題曲や条件など)と演奏時間を書き出します。例えば…

  • AAAコンクール1次予選(XX市 Yホール)

  • 日時:202X年2月14日

  • 演奏時間:15分 ※「指を鍵盤に下ろした時」からか、それとも「舞台袖から出て戻ってくる迄」か

  • 課題曲リストから任意の1曲(出来るのであればこの時点でどの曲を選択するかを決定)後は自由

これらの情報を下記の様なEXCELの表に書き込んでいきました。

この表に関しての詳細はご要望があればまた別のブログでご紹介させていただければと思います。



※記載されている作曲者やコンクール情報はイメージです


 コンクール情報に加え、発表会、コンサート、合唱コンクールの伴奏など、その他のピアノ関係の予定も一緒に書き出します(テスト期間なども書き込むと良いかもしれません)。この時点で「『本選』の予定なんて書いたって、予選を通るかどうかもわからないのに…」と思われるかもしれませんが、今後、効率的にコンクール用の曲を準備するのにとても役に立ちますので思いつく限りの予定を書き出して下さい。



2.レパートリーを書き込む


 その後、上記の表の左にある「曲名」のところに現在のお子さんレパートリーから使えそうな曲を書き込んでいきます。その際に

  • 今後レパートリーとして使う曲

  • 来年/再来年以降はコンクール用として使用しないと思われる曲

…などの分類を表のどこかに「メモ」として残しておきます。将来的に「コンクール用としては使用しない曲」として分類する理由としては、

  • 年齢が上がるたびにカテゴリーが上のコンクールを受けることとなる為「勝ちに行く」曲に関しては高難易度の曲を用意する必要がある

  • 例えば「今までは古典ではハイドンのソナタでコンクールに参加していたが、ベートーヴェンのソナタを現在練習しているので、将来的に曲を差し替える予定である」場合

  • 昨年も同じコンクールを受けたので、同じプログラムでの参加は避けたい場合

等が考えられます。

 

 又、この時に「バロック」「古典」「ロマン」「近代」「現代」という感じで年代別で曲を上から並べていくと、どの分野のレパートリーが脆弱かがはっきりすることでそれに合わせてコンクールを選んだり、若しくは新曲を練習する必要性が見えてくると思います。


 また、細かいことなのですが、曲名の欄は、「モーツァルト、ソナタ」ではなく、そのままコンクールの申込書に記入できるくらい丁寧に書いておくと後々ミスが少なくなります。イギリスの話で大変恐縮ですが、モーたんの音楽学校ではコンクールに特化した先生の門下に入った場合、この書き方について細かく指導されました。その理由を聞いたところ「コンクールの申込書に記載したそのままの表記で当日審査員が使用する採点用紙/プログラムに『演奏曲目』として配布されてしまうため、余りにも拙い書き方をしているとその時点で『ああ…その程度のピアニストか…』と思われるから」とのこと。きっと「そんな基本的なことも教えることが出来ないピアノの先生に教えを乞うているのであれば一事が万事」ということなのでしょう。


 どんな感じかと申しますと…(実際にコンクールで目にしたものを参考としておりますので英語表記となっております。どうかご了承ください)


(誤)Chopin Nocturne No.13

(正)Chopin Nocturne in C minor op 48

 ※ショパンのノクターンや他の作品などは、通し番号(例:No.13 )は書かずに音階と作品番号を記載することが多いです。作曲家によっては通し番号を記載する場合もあるので、不安な場合は先生に質問されるのが確実です!


(誤)J S Bach Partita No. 2 in C minor (Grave (Adagio) - Andante)

(正)J S Bach Partita No. 2 in C minor

 ※この方はどうしてテンポ指示の表記まで書いてしまったのか… 何でもいっぱい書けばいいというものではないという例でした(笑)


(誤)Listz La Campanella

(正)Listz Étude in G♯ Minor S. 141/3

 ※「ラ・カンパネラ」と書いてあれば、間違いなくどの曲が分かるのですが… 作曲者がその様に命名したという証拠がある場合や作品番号などがなく「名前」のみである場合以外は、後に第三者により付けられたニックネーム(若しくはニックネームのみ)等は記載しない方が無難なようです。記載したい場合には上記の(正)の様に書いてから「ラ・カンパネラ」と書き添えれば問題ないと思います。


 嘘のような本当の話なのですが、上記の(誤)の例に挙げられたピアニストの方は全て予選敗退となっていますし、他のコンクールでも同じような書き方をしていて予選通過された方を見たことがありません。また『演奏曲の楽譜をコピーして参加時に審査員に提出する』と要求されるコンクールもあるのですが、そういったコンクールの場合には「原典版」を持っていくことが暗黙の了解となっており、そうしなかった場合減点対象になっても致し方ない…とまで言われていました。モーたんの同級生に先生の色取り取りの書き込みがビッチリ入ったままの楽譜をそのままコピーして提出した強者もいましたが、これはもう撃沈してくれ!と言わんばかり。(笑)※因みに我が家では新曲の練習を始める前に全ての楽譜(購入済み)をこういう時の為に1部コピーしています。


 「演奏さえよければそれで良いのでは?」と、腑に落ちない点も色々ありましたが、勝ちに行っているコンクールでそんな些細なことで減点になってしまっては元も子もない為、結局「長い物には巻かれろ」よろしく現在に至っています。ピアノだけに限らず音楽は伝統芸的な要素が多いので、長年培われた文化や伝統を知らなかったら損をすることも多いのかもしれませんね。



3.現在のレパートリーをコンクールやピアノ関係の予定毎に割り振っていく

 

 上記の条件を加味しながら手持ちのレパートリーをそれぞれのコンクールやコンサートなどの音楽活動に割り振っていきます。コンクールの場合には、「オープニングに最適な曲」「プログラム最後を飾る曲」という曲に対して性格付けをしながら演奏する順番も決めておくとその後の曲選びにも役立ちます。勿論この段階で決めた曲や順番はその後変更になることもありますので、この時点では「ま、こんなもんかなぁ~」で大丈夫です。順番を決めかねる場合は、取り敢えず演奏予定の曲の欄に「✔」の印をつけておくと後の作業が楽になります。


 曲を割り振っていくこのステージでは、手持ちのレパートリーに関しては『**分**秒』というかなり正確な演奏時間も記入することが重要です(上記の表では右端に「演奏時間」を記入する欄を設けています)。日頃から練習をしている際に何度か演奏時間を計り、それらの平均値を採っておくとこういう時に役立ちます。


 


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 4.コンクールに向け、課題曲や新曲など不足分の曲の練習予定を立てる


 こうして一通りズラズラ~と書き出してみますと色々なことが判明します。


5分程度の古典のソナタが必要かも。この曲があれば2~3つのコンクールをカバーできそう。
演奏最後に弾く派手な感じの曲がxx月までに準備出来れば〇〇コンクールに使えそう
ノクターン系の曲が△△コンクールには必要かな?…
◆◆コンクールには絶対に参加したいけど、この為だけに新曲が2曲必要になるのはちょっと…。開催時期は受験期間でもあるし、来年は見送って再来年に参加しよう 

 この様に全て(取り敢えず)書き終わったら一番大変な新曲選びと、「この曲を仕上げるのにどれくらい時間がかかるかな?」と考えていくプロセスです。このプロセスは「セット」なので、片方だけ先に考えていくわけにはいきません。親子で並んで座って色々な曲を聞きながら「これいいね、あれいいね」と、選んでいくのはとても楽しいのですが、その後に重要な選考ポイントとなる「演奏時間」や「曲を完成させるまでの練習時間」を考えていくと、毎回、溜息のオンパレードとなりました。


 我が家は常に「出来るだけ使い廻す」というその一点で新曲を考えていました。「このコンクールにはこの曲」ではなく、1つの曲で出来ればコンクール数回分(+発表会やコンサート)をカバーできることが絶対条件でしたので、それが出来ないコンクールは地元開催だとか、どうしても参加したいという明確な理由がない限りドンドン切っていきました。特に技巧的な曲が好きなモーたんの練習は非常に長期に渡る為、使い廻せるかどうかは死活問題となってきます。


 モーたんが12歳くらいになると「新曲を仕上げるまでにかかる時間」がかなり読めてきたのですが、それ以前は学校の勉強&宿題、お友達との約束、課外活動、塾…加えて病気になったり、指を怪我したり、全くやる気が出ない日もあったり…と、「大人」の思い通りには練習が進まないこともありますし、練習を始めたはいいものの、その曲が想像していたよりもずっと難しくて「締め切り※」までにコンクールに出すレベルに仕上がらないこともありました。そんな場合に備え、我が家では常に新曲(特に難易度の高い曲)には「バックアップの曲」も用意しておく必要があり、これが更にこの選曲プロセスを複雑にします。※ある期限までであればコンクール運営事務局に連絡をして曲目を変更することが可能。


 またこの際に、複数の新曲の練習時期がなるべく被らないように注意することも大切です。これはコンクールの日程、曲の難易度やお子様がピアノに割ける練習時間などにも左右します。ただ、コンクールがあろうがなかろうが日頃練習している練習曲、バッハ、ソナタ…などの通常のレッスンの曲数は減らないお教室もあると聞きますので、そうであれば猶更新曲を練習する時間を確保することは困難となるでしょう。ですので、4.新曲を選んで練習する…という時点でも再度コンクールスケジュールの見直しが必要となり、『1.今後2・3年以内に参加予定のコンクールを選び出す』の振出しに戻ることもあります。最初はかなり余裕を持たせたスケジュールで予定を組むようにはするのですが、特にまだレパートリーが少ない小学生時代はどうしてもコンクールに向けての新曲が多くなるため、コンクールの1ヵ月前ともなると「朝練+放課後練+食後練+深夜の自主トレ」となりがちでした。

 

 よく「ピアノママ友」達の間で話題に上ったのが「お宅は親御さんがが何も言わなくてもお子さんは練習する?」ということ。音楽学校ですからね、(入学当時は少なくとも)ピアニストになりたい率もとても高いお子さん達の集団ですからね、勿論、自分で勝手にピアノの前に座って何時間も練習している……

んなことあるわけないじゃん! 

 皆さん「我が子の為…」と思って最初は怒ったりなだめすかしたりしながら練習をするのですが、毎回最後の方には「これ一体誰の為にやっているんだろう…」と自問自答する毎日だとか。モーたんは厳しい練習から逃げるようなことはありませんでしたが、なるべく親に自分の気配を感じさせないように(気取られると「練習!」と言われるため?)仙人のように家の隅で息を潜めて隠密生活をしていたようです。




















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